一写入魂。

デジタル露出の極意
ぼくはその昔、オリンパスのE-500で一眼レフデビューを果たしたんだけど、当時のオリンパスの一眼レフはAFエリアが中央寄りの3点しかなくて、それを切り替える操作もやりづらく、実質中央1点であったために、AFとAEを切り離す必要に迫られたというか、その辺でもやもやしている時に出会ったのが、『露出の極意』というスポット測光について丁寧に書かれた本だった。今思えば、これがカメラにハマる大きなきっかけになった事は間違いない。そして、その『露出の極意』の著者である、鈴木一雄氏が新しく『デジタル露出の極意』という本を書いてるのを発見して、光よりも早くオーダーしたのであります。

デジカメはその場で結果を確認できて、ダメならすぐに撮り直すことができるし、撮った後の画像処理で、修正したり設定を変えたりできるというメリットがあるが、それが写真を撮るということの楽しさ(=臨場感・達成感)や、写真というもののリアリティーを奪っているのではないかと問題を投げかける。そして幸せのために「一写入魂」の姿勢を持とうと呼びかける。シャッターを切る瞬間にすべてが決まる。料理に例えれば、素材の良さに勝るものなし。画像処理は、甘みを引き立てるためのひとつまみの塩程度にしましょうという話。

そこから、露出とは何か、露出と構図との関係、適正露出、という流れ。特に逆光の時は適正露出と言える幅が広くて、例えば水面の輝きを撮りたいのか、それともその周辺にある若葉の緑を撮りたいのかで適正露出は変わる…確かに、とりあえず撮っておいて、後から画像処理で主役をどちらにするか決めると、写真としては弱いものになってしまうと思う。ここまで来てやっと具体的なスポット測光の話が出てくる。実際にどこをどう測って撮ったのかという説明以外に、デジカメのモニターは明るいところで見るのと、暗いところで見るのとでは見え方が違うとか、ヒストグラムは信用できないとかの、スポット測光を推奨する根拠。それ以外に、ピント位置や被写界深度のとり方、フレア・ゴースト・ブレ・画像処理等々、風景写真を撮るために必要な知識や技術も盛りだくさん。

実際ぼくは著者のように三脚を使ってじっくりと、というようなスタイルではないけれど、最近デジカメつまんねーなーと思ってた理由がハッキリしたのが大きな収穫だった。その前に感動すること。心の豊かさ的な部分を、もうちょっと何とかしないといけないと強く思う年の暮れでございます(笑)

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