ビートルズの『ABBEY ROAD』が50周年で、YMOがデビュー40周年。そのYMOも例によってリマスターのCDやらハイレゾやら45回転の高額レコードやら出ておりまして、いろんな所からいろんな話が聞こえてくるんだけども、ぼく自身YMOは長いこと聴いてきたような気がしつつ、よくよく考えてみるとオリジナルアルバムという単位では全然知らないんだなーと思ったりして。
YMOとの出会いは、中学生の時にお友達から『YMO MEGA MIX』と坂本龍一の『未来派野郎』を教えてもらったこと。当時お年玉で毎年最新モデルに買い替えていたウォークマンで聴くと、左右で別々の音が鳴っていたりボーカルが回転していたりするのがわかって本当に楽しかった。これがおそらく1987~1988年ころの話で、YMOはすでに存在していなかった。そんなこんなで結構最近まで、YMOは坂本龍一がやってたテクノバンドという認識だった。そのお友達はお兄さんがふたりいた関係でカシオペアなんかも聴いてた記憶があるんだけど、今世紀に入って1回も会ってないというか、消息不明。お元気でしょうか?
ぼくが持っているYMOのオリジナルアルバムは『ライディーン』とか『テクノポリス』の入ってる『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』のみ。昔々にレコードフェアの100円セールで買ったから盤の状態があんまりよろしくない。これ以外でどの辺のアルバムを聴くのがいいかインターネッツに聞いてみると、YMOの最高傑作とされているのが『BGM』と『テクノデリック』であるという回答。
じゃあじゃあその2タイトルを入手する方向で、最新のリマスターを何かしらの形で買うのがいいのか、中古レコードで当時の音を聴くのがいいのか考えてみる。最新リマスターはSpotifyにもあるけど…『BGM』はオリジナルのデジタルマスターが(当時の機材の寿命で)今は再生できないこと、『テクノデリック』は『TAISO』のオリジナルマスターが行方不明だというではありませんか。ということは、最新のリマスターはどこかの段階でのコピーからってことになるわけで、お値段的にも当時のレコードで聴くのがいちばんという結論。
この辺をいろいろと調べていると、スピリチュアル方面からYMOを読み解いたという記事に遭遇した。リーダーである細野晴臣がUFOだとか密教だとかにものすごく傾倒していて、YMOは音楽で「無我」を表現しようとしたのではないかという考察が面白い。
『BGM』と『テクノデリック』は『ライディーン』を期待していた当時のファンを切り捨てたアルバムだっていうじゃありませんか。リアルタイムで聴いていたらぼくも切り捨てられたに違いない(笑) 上のスピリチュアル等々を勘案すると、『BGM』には精神世界みたいなものを感じるのに対して、『テクノデリック』はテクスチャー重視かなーという感想。両方とも今の感覚ではかなり聴きやすい。それでいて全く古さを感じさせないのはすごいところ。
『テクノデリック』のジャケットは、レコード会社の意向で初回プレスのみ3人の写真のデザインに変更されたんだって。CD世代だからオレンジのジャケットのやつしか知らなかったわー。ぼくが買ったレコードは「いわゆる『テクノデリック』」と書かれた帯が無いのが残念だけど、その辺はコストと盤質重視で。長いことベスト盤のCDでYMOを聴いてきた耳には、当時のレコードの音の方が100万倍新鮮でクッキリハッキリ聞こえる。とくに低域の動きが(古い)CDではわかりにくいのではないか?