プレミアムカートリッジ。

これまでのあらすじ

JICOのカートリッジ「J50」の音がダメダメなことがわかってDL-103に避難する。気分転換にヘッドシェルを新調してみたら反っていてアレ。この辺りでレコードに疲れ果て一旦距離を置く(笑) 程なくしてSUMIKOのPearlで復帰。これといった不満もなく(というかレコード再生への興味が薄れたまま)年末年始を通り過ぎた。

行き過ぎ

最近になってSUMIKOのPearlで使える何かしらの交換針は無いものかと思いはじめて、以前に見たブログで三洋のMG-27Lと同じだということを再確認する。MG-27Lの交換針はJICOからいくつか出ていて、オリジナルの楕円・接合針よりもいいやつとなると、SAS針・ボロンカンチレバーのお高いやつ(25,850円)しか無いっぽい? 本当にPearlで使えるのかわからないし、高い針は折ったり曲げたりした時にダメージが大きいから無しでお願いします。

後悔するが反省はしない

JICOの一式(J50と交換針2本)を処分して何か新しいものを仕入れようかと企んでみたものの、JICO以外にMMカートリッジを作っているのはオーディオテクニカとナガオカとエクセルサウンドの3社くらい? 他にオルトフォンがあるけれどイマイチ信用できないし。MCカートリッジに至っては入門用とされているDL-103ですら実売で5万円弱だから、実際の選択肢はほとんどない現実にぶち当たるというか、以前から感じていた閉塞感を再確認した。

現状でいちばん効率がいいのは…SHUREのM44Gを導入すること。J50と入れ替えればいいだけだから交換針2本はそのまま活かせる。だがしかし、SHUREは2018年にカートリッジの生産から撤退していて今はプレミアム価格になっている。中古のM44Gを当時の新品と同じかそれよりも高い値段で買うのはちょっとなぁ。2015年に8,000円くらいで買ったやつ、売らなきゃよかったなぁ(笑)

カモメ

というわけで、白羽の矢を立てたのが「カモメのM44G」であります。M44Gにはメリケン製の前期型とメキシコ製の後期型があって、SHUREの「S」をかたどったと思われるロゴマークが入っているのが前期型。ロゴがカモメに見えるって事でそう呼ばれているんだけど、全然カモメじゃなくない?(語尾上げ) マイクロさんのCopilotに「カモメ」の落札相場を聞いてみたら約13,000円という回答を得た。前期型は聴いたこと無いからこのくらいで行けるならいいかも。

ここを参考に、付いているヘッドシェルや針の傾き等々からDJに使われていないと思われるものに入札して競り負けた。結局は即決のやつをサクッと落札。両方ともほぼ相場価格であった。

ご対面!
針先はキレイ
パイオニアの軽量ヘッドシェル(7g)付き

メリケンサウンド

数日後に無事到着。動作確認のためにそのままプレーヤー(テクニクス:SL-1200GR)にセット。針圧は1.2g、フォノイコライザー(ラックスマン:E-250)の負荷容量を最大の330pFに設定して聴いてみると、ボリュームのある低音とキラキラな高音が気持ちいい。記憶にある8,000円の後期型の音よりも若干おとなしめで全体的に丸いというのか柔らかくて、これが前期型の音なのかと思っていた時期がぼくにもありました。

ちゃんと音が出て一安心
真ん中が付属のオリジナル針
JICOの針(右)は無垢で小さい

はやる気持ちを抑えきれず、針をJICOの「N44-7 IMP NUDE」に交換してみたところ、現代的なシャープでソリッドな音が飛び出してきた。この感じ…後期型と大差ないような気がする。2015年からスピーカー以外は全部入れ替わったし、そもそも8年前の記憶だからなんとも言えないけど、少なくともキャラクターは同じと考えていいと思う。付いてきたオリジナルの針は劣化しててダメダメってことなのかな。曲がったカンチレバーを直した形跡もあるし、真鍮部分がサビサビだし。

ポロリもあるよ

しばらくはそのままで楽しむ予定だったけど、自分以外が組み立てたヘッドシェルはどんな具合なのかといじっていたら、青のシェルリード線がポロリと切れてしまった。ネジは長い時間で緩んだのか最初からこんなもんだったのか、手で簡単にカートリッジが動いてしまう状態だった。付いてきたヘッドシェルはパイオニアの「PP-303」で1970年代半ばの製品っぽい。ということは、DJ用というイメージが付く前のM44Gなのかな?

謎の四角い板が挟まってた
カモメには見えないけどなぁ
上面は平らなタイプ
「NC」ってのはどういう意味なんだろう?
アルコールはやめておく

ここで一気に組み替えてしまいましょう。全部をバラして精製水を使って拭き上げる。端子部分に接点復活剤を薄く薄く塗ったらJ50と入れ替えて完成。ヘッドシェルはオーディオテクニカのMG10だから、オーバーハングがちょっと長め。

オリジナル信仰はない

交換針の嵌合は若干緩めだけどガタは無し
内周歪はそれほど気にならない

改めて、JICOの「N44-7 IMP NUDE」で針圧を最低の1.5gにして聴いてみる。低音は切りたての刺身のように角が立っているし、やや大げさに漂う高域も良い。解像度は十分。全体的には音の粒子というかが大きめで、ザラッとした音は出にくいのかもしれない。強い押し出し感があって音楽のノリに関しては文句無しの楽しさ。サ行の荒れは…まぁちょっとはあるけどJ50に比べたら刺さらない。アンプ(テクニクス:SU-G700)の「Signal Overflow」は、たまに出る盤があるかなー、くらい。

J50は更迭

改めて改めて、JICOの「N44 USHIKOROSHI 牛殺 NUDE」も聴いてみる。「N44-7 IMP NUDE」に比べるとちょっと音が小さめで押し出し感も減る。金属の鳴り物系は余韻があまり無いというか響きが少なくなって、相対的に中低域が強調されるのかも? 特に詰まった感じはなくて違和感なく普通に聴ける。このふたつの針の音の違いもM44Gの方がハッキリわかる。今までの全体的なヌケの悪さや曇った感じはやっぱりJ50のせいだったんだな。ホント、J50で聴いていた時間を返してくださいってゆうか、結局DL-103とM44Gなのかよ!(笑)

おまけ

まさしくこの感じ! JICOの針はいいけどカートリッジ本体はやっぱりちょっとアレかもなぁ。

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