THANKS GIVING [+5]

CDも再発さていない

菊池桃子が率いる”ロックバンド”、ラ・ムーの唯一のアルバム『THANKS GIVING』。オメガトライブと同じ事務所ということで避けて通れないと思っていたのが、シティ・ポップを特集したレコード・コレクターズで「小室哲哉が(ラ・ムーに)90年代のプロデュースのヒントをもらった」って言ってるって紹介されていて、これはいよいよなんとかしないといけない事になった。でもCDはプレミアが付いて非現実的なお値段。ちょうどそのころにLPで再発売されるという情報が入ってきた(プロモーション記事だな)。だがしかし、このLPは4月21日のレコード・ストア・デイに発売される数量限定のレコードの中のひとつで、基本的に通販は無し。ディスクユニオンだけが1週間遅れの28日の午前0時からオンラインショップで販売するとのことで、連休初日に少々夜更かしして待っていたところ、0時を過ぎた瞬間にサイトはつながらなくなって、1時間くらい粘ったけどあきらめて寝た。次の日の朝「完売」の表示を見て地方在住の疎外感を味わったのであります(笑)

91年発売のCD

実はレコード・コレクターズを読んだ直後に、ラ・ムーのシングル曲が収録された菊池桃子のベスト盤『菊池桃子スペシャル・セレクションII ラ・ムー~ミロアール』(VPCB-81026)をゲットしておりました。ラ・ムーのシングルの内2曲はアルバム未収録で、LPを買ってもムダにはならないだろうと思ったのと、とにかく早く聴きたかったから。いざ到着して聴いてみると、かなりの部分がラ・ムーっぽい感じ? よくよく調べてみたところ、なんとラ・ムーの『THANKS GIVING』にアルバム未収録のシングルが2曲、菊池桃子名義が3曲の全15曲という構成になっているではありませんか! というわけで、どうしてもレコードが欲しいという状況ではなかったんだけども、今回の件でレコードに対する情熱が完全に冷めてしまった。そもそも新品がやたら高いし、そこに数量限定になると余計にタチが悪い。最近は中古レコードも値上がりしまくりだしね。

ビジュアル的ピーク

改めて「ラ・ムー」なんだけども、当時トップアイドルだった菊池桃子が突然「ロックバンドを結成する」と言って出てきたバンドという風に記憶している。1988年だからぼくは高校生で、オメガトライブよりも渡辺美里や大江千里に興味が移っていたし、そもそもいわゆるアイドルには興味がなかったし、テレビで見たラ・ムーは変な衣装と振り付けだったし。そんな事もあって、出オチ感と共にネタバンドとして語られていることの方が多いんじゃないだろうか。実際ぼくも「え? ラ・ムー? 菊池桃子の? アレなやつでしょ?」っていうスタンスで最近まで生きてきた。

菊池桃子の後ろには黒人女性コーラスがふたり、全部で7人のユニット。ブラスもバッチリ入っててロックと言うよりはブラコン。当時ブラック方面の音楽をやってたのは久保田利伸(とカルロス・トシキ&オメガトライブ)くらいかなぁ。彼女のささやき系ボーカルでラップとか、時代を先取りしすぎてたんだね。ただし、これは菊池桃子がやりたかった「ロック色を強めた楽曲」とはだいぶ違ったみたいで、その辺が未だにCDで再発売されないし配信もされていない理由なのかもしれない。

個人的なラ・ムーのベストは『TOKYO野蛮人』。「キュッ・キュッ」からの「キュキュ」っていうところがツボ。当時なんだかなーって思ったデビューシングルの『愛は心の仕事です』にこんな形で再会する時が来るとは。これがアルバムに入ってないってどうなのよ? 全体を見渡すと、歌詞的な部分で”アイドル菊池桃子”の曲があったりして、当時のメンバーの「別に雇われたんじゃなく俺達がヴォーカルを捜してたら菊池桃子が来た。」という言葉とは裏腹に、菊池桃子のプロジェクトだったことがわかる。『Late Night Heartache』だけがやけに毛色が違うのは、同じ事務所で1曲だけ出して消滅してしまった「ジャッキー・リン&パラビオン」の2ndシングル用の曲だったから。これさー、LP未収録のシングルとシングルのB面を入れて、コンプリートのCD出してくれないかなー。よろしくお願いします。


4年後に3rdプレスでようやく入手。

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