グッと太い音
オーディオテクニカのモノラル専用カートリッジVM610MONOをシェルに取り付けて、うっとりと眺めた後でおもむろにレコードプレーヤー(SL-1200GR)にセットする。針圧は指定の2g。最初に聴くモノラルレコードはビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』。これは東京にいた90年代初頭に最後のレコード発売ということでプレーヤー持ってなかったけど買ったやつ。
おなじみのイントロから最初のドラムが入ってきたところで、音の太さと力強さを実感する。ヮ(゚д゚)ォ! いいじゃないの! ステレオカートリッジで再生した時との大きな違いは、サーフェスノイズというのかなぁ、無音部分の「サー」っていう音が圧倒的に少ないこと。モノラルカートリッジは単に配線がモノラルになっているだけではなくて、上下方向の針の動きについては出力しないようになっているっぽい。なるほど、そういうことか! モノラルカートリッジを買った意味はあったね。
モノラルスイッチはあんまり良くない
引き続き『Presenting the Fabulous Ronettes Featuring Veronica』などを。これは2015年に発売された盤。ふと思いついてフォノイコ(E-250)のモノラルスイッチをオンにしたら、全体的に引っ込んだ薄い音になってしまった。もしかして、このモノラルスイッチって使わないほうがいい?と思って実験開始。同じくオーディオテクニカのステレオカートリッジ(VM700)にチェンジして、針はモノラルカートリッジに付属のVMN10CBをセット。この組み合わせだと低域が締まってシャキッとした音になる。モノラルスイッチは…やっぱり使わないほうが音の鮮度が良い。モノラルにできるってこともE-250選択の理由だったからショックだわー。
これはどうでしょう?
今度はモノラルカートリッジに今年の頭に買ったマイクロリニア針(VMN40ML)を組み合わせてB面1曲目の『BE BY BABY』を聴き比べてみる。もっと解像度が上がることを期待してたんだけどそれほどでもなく、ボーカルが小さく薄くなってあんまりおもしろくない音。モノラルっていうのはこういうバランスが案外難しいものなんだなぁ。
まとめ
というわけで、非常にわかりにくい今回の実験を整理すると、カートリッジと針とフォノイコのモノラルスイッチのオン・オフの組み合わせで8種類の音の違いを聴き比べたという話。
- VM600+VMN10CB+モノラルスイッチ・オフ
- VM600+VMN10CB+モノラルスイッチ・オン
- VM600+VMN40ML+モノラルスイッチ・オフ
- VM600+VMN40ML+モノラルスイッチ・オン
- VM700+VMN10CB+モノラルスイッチ・オフ
- VM700+VMN10CB+モノラルスイッチ・オン
- VM700+VMN40ML+モノラルスイッチ・オフ
- VM700+VMN40ML+モノラルスイッチ・オン
この中でいちばん良かったのが(1)。要するにモノラルカートリッジとして売っているものを、いろいろやらないで普通に再生したやつ。その次は(5)かな。状態の良くないモノラルレコードの場合はパチパチ音がステレオで聴こえてくるのがアレだけど。ステレオで太い音が出るから古いジャズなんかとも相性が良い。
いかなる状況でもE-250のモノラルスイッチは使わないほうが良いという結論になってしまったのは残念。さてさて、本命のSP盤再生は…次回へ続く。
SP盤再生編はこちら。