箇条書き。

テクニクスのフルデジタルアンプ「SU-G700」を導入して10日ほど経過。現時点での諸々を書き留めておくテスト。導入といっても納期は6月で、それまでご厚意でデモ機を借りている状況。

実は3台目

いわゆるD級アンプ(デジタルアンプ)の類いを買うのは実は3台目。2000年くらいに一生懸命お金をためてユニゾンリサーチのSimply Fourという真空管アンプを買ったものの壊れまくりで、そこに颯爽と登場したシャープの1bitミニコン「SD-SG11」にアッサリと乗り換え。それもシャープ製品の例に漏れず故障。その後は鳴り物入り的に登場したフライングモールの「CA-S3」に移行しつつ、結婚したこともあってオーディオは休止状態に突入するのでありました。

2002年2月 SD-SG11
「パンツ」と呼ばれたデザイン

振幅と位相の周波数特性を平坦化

D級アンプは原理上スピーカーのインピーダンスの影響を強く受けてしまう。昔のアンプではその辺りの対策がなされていなかったようで、思い出してみればCA-S3で鳴らすディナウディオのContour 1.1の低域はブワブワだった。時は流れて、テクニクスのアンプにはこの辺りのことを改善するLAPC(Load Adaptive Phase Calibration)という機能が搭載されている。リモコンのLAPCボタンを長押しすると3~4分くらいでスピーカーの周波数特性や位相を計測して補正してくれるようになる。

LAPCオン

この機能はリモコンで簡単にオン・オフできるから比べてみると結構違う。オフでは特に低域がスピーカーにベタッと張り付いた感じになってしまうのが、オンにするとスッと離れて立体的にそして芯のある音になる。全体的には見通しが良くなる感じ。ちなみに使用スピーカーはJBLの4312SE

アナログ入力とデジタル入力

フルデジタルアンプだからデジタル入力はデジタルのままサンプリングレートコンバーターを通して、アナログで入力したものは192kHz/24bitのPCMに変換されてから増幅される。その音質差はどうなのか、ネットワークプレーヤーのNA6006をオプティカル(デジタル)とRCA(アナログ)で接続して聴き比べてみた。

オプティカルで192kHzもOK

RCAの方が僅かにマイルドな音で、これはNA6006内のD/Aコンバーターの音質なんだろうけど、不思議なことに思っていたほど差がない。LAPCに関係する部分でもあるけど、内部的にDSPで”音を処理している”みたいだから、接続機器の個性が出にくいのかもしれない。

フォノイコライザーはどうですか?

気がついてみれば、SU-G700はぼくが使っている同じくテクニクスのレコードプレーヤーSL-1200GRと同時に発売されたもので、当然ながら(?)フォノイコライザー(MMカートリッジのみ対応)が搭載されている。ラックスマンのE-250と聴き比べてみたら、これもあんまり差を感じない。内蔵のフォノイコが優秀なのか、あるいはやはり内部的な処理の関係で個性が消えてしまうのか…このアンプで聴くレコードの音自体は悪くないと思うんだけど、この精神的なモヤモヤ感の正体はなんだろう?

配慮のない塗装

そういえば、本体裏のアース端子の周辺の塗装が剥げてる。スピーカーターミナル周辺にもキズが多数で、デモ機だからある程度は仕方がないのかもしれないけど、自分のが来たらマスキングテープを貼るとか考えないといけないな(笑)

気になるところ

発熱は少ないけど不安

2017年の発売直後の記事には「予想以上の受注でお届けが遅れます」という話が出ているのに、レビューをほとんど見かけないのはなぜなのか。2017年発売の商品を2021年に定価で売るのはどうなのか。それを3ヶ月待ちで定価で買うとか! 直後にモデルチェンジしたり他社の魅力的な新製品が(6月までに)出たらアレ。音楽を聴いている時にVUメーターをずっと見ているわけではない。最近発売になった80万円超えの上位機種に搭載されている、窒化ガリウムのFET(GaN-FET)との違いはどういうものなのか。

その他~まとめ

6月まで生きていられるのか

外観はシンプルなのとテクニクス伝統のイメージで良い。が、木製のオーディオラックとは合わないかもしれない。発熱は全くしないわけではない。トーンコントロールはリモコンから呼び出す操作体系だから、頻繁に調整する人には向かない。リモコンでのボリュームの微調整はやりやすい。セレクターダイヤルはいくらでもまわるけど、入力切り替えは循環しない。入力切替時にわずかにリレーの音がする。レコードは丸針だと内周の歪が気になりまくるのと、今まで気がついていなかったレコード盤の傷みが聴こえてしまった。音はワイドレンジで精密。古い音は古く、新しい録音は新しく聴こえる。真空管アンプに慣れていると中域があっさりで、それが押し出し感の希薄さとして感じられるのかも? 超低音が含まれている音源はデジタル入力が圧勝。アナログソースよりもデジタル入力で聴くアンプかもしれない。機材的にはこれで上がりかな。ちょっとオーディオとか言ってられなくなってきました。

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