今年いちばん最初に買った音楽は、桐ヶ谷仁の3rdアルバム『JIN』であります。オリジナルの発売は1983年(昭和58年)。例によって外国の方がYouTubeにアップしているので初めて聴いて「なんて素敵なアルバムなんだ!」ってことで探してみたところ、配信系には1stと2ndまではあるんだけど『JIN』は無い。じゃあってことでレコードを見てみると、プレミア価格(というか転売価格)で却下。CDは2017年にリマスター盤が出ているけど時すでにお寿司。
それでも諦めずに探していたら、初CD化された2003年の盤を発見(VSCD-3802)。お値段は中古にしてはお高めだけど、新品よりも安いってことで光よりも早くオーダー。最新のリマスターじゃないことに後ろ髪を引かれつつも、こういうのは縁だから。5日後に届いたCDは発売から17年経っているとは思えないほどキレイ。肝心の音質は十分に満足できるレベルで一安心。
アルバムの能書きに関してちょろっと調べてみたところ、ブックレットに載っている本人インタビューの内容を超えるものはなかった。最新リマスター盤もおそらくはこの本人インタビューがそのまま転載されている予感。それによると、レコード会社移籍第1弾で、プロデュースは松任谷正隆。したがって、当時の松任谷由実のバッキングの皆さんが演奏を担当している。一見(一聴?)地味とも思えるこの全体の雰囲気はプロデューサーの松任谷正隆の意向が反映されている。『DEPARTURE』は当初『斜陽』という曲だったけど、歌詞の「西日」が貧乏くさいというプロデューサーの意見で松任谷由実が新しく詩を書いている。吉田美奈子も作詞している、などなど。
『浜辺の町』と『波』が人気があるとのことだけど、ぼく的には2曲目の『静かだね』と最後の『誰よりも』かなー。なんとなくふたりのころのオフコースを彷彿とさせる香りを感じつつ、新しいところではLampにも通じるような気配を感じるとか感じないとか。そしてアルバムのエンディング…「あなたの他に何もなかった」の後でフェードインしてくるピアノがロマンチックな余韻を残す。この瞬間のための46分。ボーナストラックが入ってたら台無しだったね。