<通常盤>

やっとたどりついた

2011年11月に発売されたビーチ・ボーイズの『SMILE』をやっと買いました。「世界一有名な未発表アルバム」としての誉れが高いこの『SMILE』周辺に関しては、検索すれば大量に情報が出てくるからここではザックリ説明する。『Pet Sounds』の次に出るはずだったアルバムで、中心人物のブライアン・ウィルソンは細切れでレコーディングした大量の音の断片をいろんな理由で最終的にまとめることができず、精神を病んでしまった。時は1967年。ビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の直前。『Pet Sounds』の評価が上がるとともに、その存在が大きくなっていったような気がする。

3兄弟+いとこ+友人
この人がブライアン・ウィルソン
裏ジャケも伝説の通り

ぼくが『SMILE』を知ったのはいつのことだったか忘れてしまったけど、あのお友達経由なことは間違いない。高校を卒業して東京に行って、西新宿辺りのレコード屋でブートレッグ(海賊盤)を手に入れて「ウガガー」のコーラスを聴いた時の衝撃は今でも鮮明に覚えている(笑) 1990年前後かな。だから『Heroes and Villains』を聴くと東京時代を思い出す。あの頃って辛いっていうのともちょっと違うけど、なんか大変だったなーっていうのが込み上げてきて微妙に暗い気持ちになってしまう。

ブートレッグもどんどん豪華になった
最終的にはCD2枚組に

その後『SMILE』の音源はアルバム再発売のボーナストラックや、Good Vibrations BOX(1993年)で公式に出てきてたんだけど、2004年に突如ブライアン・ウィルソンのソロ名義で『BRIAN WILSON PRESENTS SMiLE』が発売されてびっくり仰天。慌ててこれを買ったのでありました。なんと『SMILE』をライブでやってて、そのメンバーで新しくレコーディングしたという話。だがしかし、ブートレッグの内容をそのままなぞったような印象で、結局今まで聴いてきた以上のものは無かったのかと、ぼくの「SMILE熱」はここでエンディングを迎えるのであります。結果、2011年のビーチ・ボーイズの『SMILE』は完全スルーすることに。

あのお友達から引き継いだBOX(CD1枚とブックレット欠品)
これで終わりだと思ってた

そこからまた時は流れ、なんとなくモンド方面の熱が上がりつつあるのと、この前のiTunesやめるぜ案件の直後に『BRIAN WILSON PRESENTS SMiLE』が実はHDCDだったことがわかって聴き直したら、これがなかなかおもしろい。2004年はオーディオから離れていて、PCやクルマの中で聴いた程度だったからなー。そんなこんなで本家ビーチ・ボーイズの『SMILE』も聴いてみたくなった。というか実は本家の方は結構前にSpotifyで聴いたんだけど、その時は気持ちが他にあったからイマイチわからなかった。

で、本家はどうなのか…やっぱり2004年のブライアンのSMILEが下敷きにある感じだなー。基本的に当時レコーディングされたものだけで構成されているとのことで、ブライアンのに比べるといくつかの部分は抜けている(感じがする)。曲の並びも曲名もほぼ同じ。全体に漂う”ほの暗さ”はブライアンの方には無いかなー。モノラルなのは当然として、LPのA面B面で考えるとどうにも収まりが悪い(感じがする)。1967年の”完成版”は存在しないわけで、やっぱこの辺りが落としどころってことなんだろうなぁ。実際、日本盤のタイトルは『SMILE』だけど、正式には『The Smile Sessions』なわけで。

ビーチ・ボーイズの地元カリフォルニアでは…

2011年に発売されたときは、LP5枚+EP2枚+CD5枚のセットを筆頭に、CD5枚組・CD2枚組・CD1枚・レコード2枚組というはしゃぎ具合だったみたいだけど、今回買ったのは今でも新品があるCD1枚の通常盤。今までの経験上アウトテイク(=未完成)って数回しか聴かないから。もうねー『Heroes and Villains』だけでCD1枚とか無理でしょ(笑) 音質は今まで聴いてきたブートレッグよりも数段よくて、モノラルなのに音の分離がいい。そしてなんと隠れHDCDでありました。CD買った甲斐があったってもんですよ。もしかしたら、ダウンロード販売してるやつもHDCDデコードできるのかもしれないけど。

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